とんでもない実体験から『バイクライフ』を考える

とんでもない実体験から『バイクライフ』を考える

2016年11月7日 | いろいろ

SL230事故車

スクランブラーでのキャンプツーリング前に肩を痛めてから、アフリカツインの車格や重量ではもし何か有ったらと思うと、しばらくはとても乗る気になれません。

バイクを楽しむ原点を知る事にもなった、軽量で扱い易いNWJCトレッキングごっこ仕様のSL230をメンテナスし、一般道でも気軽に乗れるように足回りなどをツーリング仕様に変更して乗ることにしました。

「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」を実感

久しぶりの青空の澄み切った秋空の休日に、SL230で山の方へショートツーリングに出掛けるつもりでした。

出掛けてほんの近場で、対向車が急に私の前を右折しようとしてこちらの車線をふさいだ所で停止。逃げ場がなくなり対向車線に回避したのですが、そこに来た別の対向車に接触して転倒してしまいました。

SL230のフロント回りは車の下に入り、私自身はアスファルトで左膝を強打しましたが、プロテクターはいつもどおりに完全装備をしていたので幸いにも骨や靭帯には異状はありませんでした。ただ左膝部の擦過傷と打撲による炎症からくる腫れで膝を曲げることが出来ず、歩くのも儘ならない状態に。

パンツ、ジャケット

「オートバイ屋のおやじなのに恥ずかしくないのか!」と言う声が聞こえてきそうではありますが、この事故からふと思うと、運転免許証の書き換え時に、「運転操作時の心得として『だろう』運転ではなく、『かもしれない』運転を心掛けてください」と話がされますが、まさにそのものでした。

「最新のデジタル満載コンピューター制御のABSやトラクションコントロールやサスペンションが装備されているから、止まれる!スリップしない!」など雑誌のコピーやインプレッションは、流通業化したメーカー系のオートバイショップでは、安全であるかのようなセールストークとなっています。

大型バイク初心者のリターンライダーの方は、「最新のデジタル満載コンピューター制御のABSやトラクションコントロールやサスペンションが装備されているから、止まれる!スリップしない!曲がれる!だから安全」と思って大型バイクに乗っておられるかもしれませんが、安全はバイクの機能では決して得ることはできません。

安全はライダーの「かもしれない運転」を意識することが何よりである。と、恥ずかしながら回避することができなかった今回の事故の実体験からお伝えしたいと思いました。

「二輪車での50代の死亡事故増加」「二輪車での高速道路での無理な追い越し・無謀運転からの死亡事故の増加」など、まさしく「だろう運転」からの過信に他ならないように思います。

今回の私の事故からも、回避しようとしての咄嗟のハンドリングや急ブレーキングなどにコンピューター制御のABSやトラクションコントロールが有効でしょうか?

これはあくまで私の見解ですが、ダート路面での制動はABSなしの方が短い距離で止まれるし、アスファルトの路面においてもフルブレーキングした時の制動も短い距離で止まれます。

最新のデジタルデバイス付きの大型バイクなどは車両からの情報量が少なく、また、情報がストレートにライダーに伝わらず、乗り手の操作も曖昧な操作になりがちです。思いも因らない挙動変化から、「あっ!」と思うこともあり、デバイスが付いていることが絶対などということは決してありません。

バイクを乗って楽しもうとする時、ちゃんとメンテナンスされた車両で二輪の特性を知り、前より上手く回れた!前より不安なく止まれた!前より余裕をもって乗れた!と乗り手がスキルアップをしていけることが、バイクに乗る醍醐味でもあるのではないでしょうか。

最新デジタルバイク VS アナログバイク

前回の、バイク屋のおやじ3人でNWJC2014スクランブラー・キャンプツーリングの記事の補足にもなりますが、お気に入りのアフリカツインは、コンピューター制御のデバイスのおかげで、その場の状況にどのように作動して対応しているのかが分かりづらく、曖昧な情報しか伝わってきません。そのため対応も曖昧にしかできなくて、とても人車一体になって操っている感覚にはなれません。いかにもバイクに乗せてもらっているという感覚でシックリこないのです。

アフリカツイン

スクランブラーやボンネビルなど空冷モデルはアナログ(インジェクションは多少のデジタル化なのかも?)なので、機械的に作動することから走行中の車両情報や路面からの情報もダイレクトに伝わります。乗り手がそれに対応し自身で操っている感があるからこそのバイクの醍醐味です。

スクランブラー

長く乗り継いできたベテランライダーの方からよく聞くことで「最新の大型バイクで乗りたいバイクがないよね!」

最新バイク事情がコンピューター制御満載仕様の物しか販売されてないからに思います。

たしかに最新バイクは、「最新テクノロジーが装備されてますから、誰でも手軽に安全に速く乗ことができますよ!」という、初心者などあまり乗れない人向けの車両ばかり販売されているようにしか思えません。

スタンダードの車両の設定にしても、うちのNC750X LDでのことですが、4~5000Km乗り続けるとフロントフォークがクタクタになってしまい、普通のペースで乗ろうとしてもコーナーで踏ん張らず向きも変わり辛く、シックリこなくなります。この事は、NC750Xだけではなく殆どの新車でそのようなことがあることからも、初心者向けなんだろうと思います。

NC750XLD北海道

ダウンサイジングでの等身大のバイクライフを考える

肩を痛めた事から認めたくない老いを感じ、自分自身の等身大のバイクライフを考える中で、見栄や衒いではバイクに乗って操ることの本当の面白さや楽しさは得られないと、強く感じました。

軽量でコンパクトな車格へダウンサイジングする事で、乗る時の気負いもなく楽しむフィールドも広げられた事から、ちょっと先輩であるNWJCの高田さんがいつも言っておられる「扱える車格と使い切れる排気量だから操る面白さを楽しめる」という事が最近よくわかり、ダウンサイジングをしてさらに楽しみたくなりました。

→バイク屋の備忘録『バイク屋のバイクライフ 2016 10月』

2年前の北海道ツーリングで高田さんがVTR-Fの250、Sさんがスラクストン、僕がNC750XLDで行った時のことですが、大型バイクとの走りに何ら遜色ないVTR-Fの250のパフォーマンスが忘れられません。

34年の歴史を持つVツインエンジンを搭載したVTRにて、長年バイクを楽しんできたベテランが乗っても楽しめるダウンサイジングを自分自身で実体験し、その楽しさや魅力などをお伝えしようと考えています。

認めたくない老いを実感する私が、ダウンサイジングしたバイクを実体験することで、ベテランの方にもダウンサイジングによる楽しさや魅力など、認めたくない老いも含めて、あるところを境に緩やかに下降する放物線を描きながら楽しめる等身大のバイクライフについてお伝えできればと思います。

  • 店長:小藤哲朗
  • アフターメンテナンスにおきましても、経験したことをプロとしてユーザーの愛車にフィードバックすることを心がけています。