バイクを楽しむことと革新的なテクノロジー

バイクを楽しむことと革新的なテクノロジー

2015年6月25日 | NC750,メンテナンス

NC750X紫陽花

休日と雨が重なりバイクに乗る機会に恵まれずウズウズとしている中、束の間の晴れ間に近距離をNC750X LDにて散策に出かけました。

カブ110NWJCコンプリ-ト程の手軽さとはいかないけれど、NC750X LDはローダウン(LD)による足つきの良さもに加え、270度クランクエンジンの鼓動感も手伝って、気負うことなく、等身大で楽しめる手軽なお気に入りの1台です。

道すがらの紫陽花や田んぼを見ると、バイク乗りとしては「あまり雨が降らなければいいのにな~」とは思いますが、梅雨があるからこそ、稲が育つ一番大切な時期に田んぼに水を満たし、田植えができるのだと、また紫陽花が綺麗に咲き誇るのだと、今更ながら四季を感じます。

棚田にNC750X

ところで最近の雑誌をちょっと見てみました。最新のバイクに革新的なテクノロジーを搭載されて、それによってライダーが自分自身の技量以上のライディングがいつでも楽しめるようです(!?)。しかしながら、NC750X LDを走らせバイクを楽しむことについて思うところがあります。

革新的なテクノロジーに絶対的な信頼性があればいいけれど・・・ 

バイクのエンジンが掛からなくなるのは、バイクに乗って走りだす前のことなのでまだ良いのですが、乗っていて何ら前ぶれもなく、突然停まれなくなるのはあってはならないことです。

私自身の脳裏から消えない、恐怖の体験なので幾度も語ることとなってしまいますが、以前乗っていたBMWR1200GSで林道を走っている時、サーボ付ブレーキが突然!前後とも全く効なくなり!「このまま谷底に落ちていってしまう!」 と必死の思いで停止した体験があります。ですので、革新的なテクノロジーについて、余計に心配に思ってしまします。

BMW R1200GSは、サーボなどに問題が発生した場合、強く握れば停まると云われていたのですが、力任せに強く握っても踏んでも停まりませんでした。そのときは転倒覚悟で登り斜面に突っ込み、ようやく停まりました。

実はこの恐怖体験は私だけではありません。NWJCさんがまだBMWの正規ディーラーをやっていたとき、NWJCの高田社長が試乗車にするためのK1200Sのナラシ運転中に、サーボブレーキに突然不具合が発生。前後ともブレーキが効かなくなり、あわや追突、そして峠道から転落しかけるという出来事がありました。高田さんはそのことについて何も語りませんが、『革新的なテクノロジー』について疑心を募らせたことは、充分に察することができます。

その後いつの間にかサーボ付ブレーキは廃止されたようですが、恐怖体験のおかげで、BMWのハイメカが装備されたバイクには二度と乗りたいとは思わないし、ブランドであるといわれても、革新的なハイメカの信頼性には疑問を持っています。

HONDAのバイクにも最新テクノロジーは搭載されているし、250ccクラスからABSを搭載したバイクもあります。もちろんNC750XにもABSなどは付いています。しかし、今のところ故障したり不具合が発生したという経験もないですし、聞いたこともありません。特にブレーキであれば、それがなおさら当然のことだと思います。

私自身も、テクノロジーに感心する事は多分にあります。しかし、革新的なテクノロジー満載のコンピューター仕掛けのバイクは、自分のような長い間バイクに乗り続けているへなちょこライダーにとっては、「俺はまだまだ行けるし、若い頃より上手に乗りこなしているな~」という勘違いの元でもあります。

長年乗り続けてきた経験から、これ以上行ったら危ない!危険だ!と直感的に自分自身にブレ-キが掛かるのであれば良いのですが、これがビギナーライダーやリターンライダーだったら?

ハイテクテクノロジーの恩恵から「俺って上手いじゃん!」 「数十年ぶりだけれど、衰えどころか、若いころと同じようにガンガンに速く走れるな!」と、勘違いをし、自分自身の技量や意識を超えてしまった先には何があるのでしょうか・・・。自分と同世代の50代の死亡事故が増え続けていることに、まったく関係がないとは言えるでしょうか。

一方、長い年月乗り続けているベテランライダーの方々は、最新のテクノロジーがバイクの安全やバイクを操る楽しさには繋がらないことを分かっていることと思います。

バイクとの一体感

趣味としてバイクに乗ることは4輪車で移動するだけのこととは違います。バイクは車輪2つだけの乗り物で、乗り手がバランスを取って走らせる必要があります。そのため、バイクと乗り手を問題なくマッチングさせるために、バイク屋がバイクに乗り、実体験をする必要があります。

それができてこそ、乗り手に合ったメンテナンスを施すことができます。これは等身大で楽しむ上で大切であると思います。

車両に違和感をお持ちの方にも、「こんなものです」という対応ではなく、気持ち良く等身大で楽しんで頂けるようメンテナンスで対応ができるのは、バイク屋としてバイクに乗って得たノウハウがあればこそです。

バイクで走る爽快感は、スピードを出して走ることや深いバンク角でのみ得られると勘違いされやすいように思います。しかし、メンテナンスによってコンディションが整えられたバイクであれば、エンジンのフィーリングや車両の僅かな姿勢変化などを感じ、バイクとの一体感のある操作ができたときにも満足感、爽快感が得られます。

高田さんがいつも提唱してみえる、「速さより心地良さで走り続ける楽しさ」は、メンテナンスによるバイクとの一体感によってバイクを楽しむ、ということの本質をついていると思います。

実体験とメンテナンスの関係については、過去の記事をぜひご一読ください。

→オートバイ屋は実体験から学ぶ

→NC750X LDにて北海道ツーリングへ その1

 

『カブ110Expressで日本列島縦断』に思う

高田さんのように、カブ110Expressにて正味5日間で九州の佐多岬から北海道の宗谷岬まで縦断という、誰も考えもしないことを実体験をして楽しんでしまうというのは、素晴らしくもあり羨ましい限りです。そして、移動平均速度が48Km/hとう事実にはビックリしてしまいました。

→NWJC公式ブログ『カブ110NWJCコンプリートで日本列島縦断』

ビッグバイクなどで下道のみのツーリングに出掛けても、平均速度としてはスポーツライクに走っても50~53Km/hぐらいが一般的です。

林にNC750X

今回NC750X LDで普通に走って、ちょっと林道へも入ったりしましたが、平均で45Km/hぐらいと思うと、カブ110でビッグバイクと殆ど変りなく走れてしまうことは驚きです。排気量に関係なくロングツーリングが楽しめることが移動平均速度からも解ります。

林道NC750X (2)

誰もが気負うことなくバイクを操る爽快感も得られ、心地よく楽しめてしまうとは、畏るべしカブ110Express!もちろん、そこにはNWJCさんの実体験からのフィーバックとメンテナンスがあってこそのポテンシャルが発揮されているのだと思います。

Nakaさん、村田さんも、アンダーガードを装備したカブ110Express仕様に乗り換えられるようですから、当店も試乗車として使っているカブ110NWJCコンプリートにアンダーガードなどを装備して、同じExpress仕様にバージョンアップし、皆さんと一緒にキャンプツーリングなどを楽しめればと思います。

→Nakaさんのブログ『カブ110NWJCコンプリートの慣らしで日本海へ』

そして、カブ110Expressを駆って、過去から色々と乗ってきたビッグバイクで走ったところを、九州から四国、東北、北海道と、もう一度ゆっくりと時間を掛けて訪ねてみたいと思います。
それは、バイク屋というよりも一人のバイク乗りとして、カブ110Express仕様を超ロングツーリングで走らせ続けて、ビッグバイクとは違う新たな楽しみ方で、今までにない新たな実体験をしてみたいと思うからです。

バイク屋としてバイクに乗る実体験を重ねて、何を感じて、何を得たか?バイク屋として等身大のバイクライフを提供するために、そのことをフィードバックすることがいかに必要かをツーリングに出掛ける度に思います。

紫陽花の後ろNC750X

  • 店長:小藤哲朗
  • アフターメンテナンスにおきましても、経験したことをプロとしてユーザーの愛車にフィードバックすることを心がけています。