NC750X LDにて北海道ツーリング その2

NC750X LDにて北海道ツーリング その2

2014年10月14日 | NC750,ホンダ

羅臼港をバック3台

NC750X LD用ツーリングキャリアとパッキング

ツーリング中など荷物を積載して走るときに、手を廻したり振り返ったりして確認することがあります。固定がしっかりとされていないために揺らいだりしているのを感じると、気になってしまうのです。その状態で走り続けているから、心底楽しめない状況です。

ところでツーリングのパッキングとなると、いつもとある悲惨な事故のことを思い出します。

数年前の7月、バイクに乗り中央高速道路を走っていると、表示板に事故と通行止めの表示が出てしばらく立ち往生。警察官の誘導で少しずつ流れて行くと、悲惨なバイク事故の現場を目撃しました。

男性が娘さんとタンデムでツーリング中、後ろに縛ってあった荷物が落下し、リヤホイールに挟まりロックして転倒。娘さんは路肩へ滑っていったため無事でしたが、その男性は後続車に…。いたたまれない事故でした。

ロングツーリングとなると、たくさんの荷物の積載は必須なので、安定したパッキングは重要なテーマの一つです。

今回は、NC750X LDのダール製パニアケースの装着実走テストも兼ねるということで、ダール用フィッテングKitとツーリングキャリアを車両に装着しました。このNWJCオリジナルのツーリングキャリアは、リヤシートを有効に使い、キャンプ道具を一まとめにした防水バックをリヤシート上に載せて、固定ベルト2本で簡単に固定することができる仕様です。

NCダールパッキング)

実際に使用してみると、燃料補給時の脱着も手軽で苦にならず、それでいて荷物の揺らぎがないので脱落が気になることもありません。おかげでパッキングのことは、何も心配することも気にすることもなく、ツーリングを楽しむことができました。

NWJCコダワリのVTR-Fの実力

小樽からは市街地を避けるため、夕張までは高速を使うことに。そこからは、下道オンリーをちょっとハイペースな常用速度+αで、私のNC750X LDとSさんのスラクストンを、高田さんのVTR-Fに先導してもらいました。

小樽運河3台

高田さんのVTR-Fはパニアケースを装備していないので、リヤシートの上にはキャンプ道具などがてんこ盛り。しかしNWJCオリジナルのツーリングキャリアの効果か、荷物が揺らぐことはなく、スイスイと軽快にコーナーを駆け抜けて行きます。峠の上りでもポケッとしているとグングン離れていってしまうので、それを悟られまいとしてコーナーの立ち上りでスロットルをワイドオープンにしなければなりませんでした。

VTR-F-スラクストン先導

エンジン、足回りの調整と、ツーリングキャリアの装備による安定した積載力などのトータルバランスを高めた、NWJCコダワリのVTR-Fスポーツツアラー仕様は、250ではありますが、侮ることができない実力を見せつけるように走っていきます。VTR-Fの走る後ろ姿を見ながら、これならロングツーリングも充分に楽しめる気がします。

今までの250ccのイメージを刷新するVTR-F試乗記
→『バイク屋バイクショップ可児が乗るベストコンディションのNWJC試乗車』
試乗したVTR-Fが更に進化して、スポーツツアラーに
→North Wing JC バイク屋の備忘録『VTR-Fで行く北海道 その1』

富良野・美瑛では各々自由に好きな所へ行き、後に合流することになりました。高田さんがどんなところを走りどこへ行くのか興味があったので、付いて行くことに。高田さんからは、「俺について来てもつまらないだけだ」と云われましたが、敢えて付いていくことを了承していただきました。

美瑛花畑 NC

私も大好きな美瑛の丘陵地の中を、高田さんもキョロキョロと見渡しているようでしたが、荷物を満載のビッグツアラーでは躊躇するような砂利道や地道も関係なく進んでいきます。軽量コンパクトなVTR-Fの使い勝手の良さを活かして何処へ行くのかと思いきや、どうやらトラクターが収穫作業をしているトウモロコシ畑を目指して走っているようです。

今回のツーリングでも、トラクターを見つけるとペースダウンして眺めていることがよくありました。高田さんが、昔からトラクターの作業風景を眺めるのが好きなことは聞いていましたが、私が立ち入ってはいけない空気を感じた瞬間でした。しばらくの間見ていても飽きないようで、何とも長閑でゆったりした時間が過ぎていきました。

美瑛トウモロコシVTR-F-NC

悪化していくNC750X LDのフロントサス

合流後、稚内へ向かうワインディングの途中で、高田さんに何度も「フロントのサスどう?」と聞かれました。この時点では「確かに柔らかい感じでコーナーリング中切れ込む感じはあるけれど…」などと話していましたが、このぐらいならば、という感じでした。

しかし、2日目の昼ぐらいから、ブレーキング時などにフロントのノーズダイブが徐々に深くなり、人差し指と親指の間が痛くなりなり始めました。フロントフォークの沈み込み量を減らそうと思い、プリロードアジャスターを締め込み乗ってみても、多少沈み込みが少なくなった程度で、むしろ路面のギャップを拾い、乗りづらくなってしまいました。

然別湖の朝

3日目ともなると、フロントサスペンションは更に柔らかくなり、朝走り出してすぐ腰もなくクタクタになってしまいました。少しハイペースでコーナーに入ろうものなら、徐々にバンクを深くさせても中々向きが変わっていかず、スロットルを開けた方がいいのか?バンクさせた方がいいのか?と戸惑うほど。

コーナーが連続すると、高田さんのVTR-Fはもちろん、北海道の走りにも慣れて軽快に走るSさんのスラクストンNWJC2014仕様にも、軽々と置いていかれるようになりました。

知床峠NC

コーナーリング中にギャップがあると、フロントはクタクタで踏ん張らず、オーバーランをしかけて一瞬硬直してしまうことがありました。それでもリアのサスペンションはしなやかに吸収して、しっかり踏ん張ってくれていました。

WPフロントスプリングへの換装

帰ってからNWJCさんへ行き、アドバイスを貰いながらNWJCオリジナルのWPフロントスプリングに交換しました。北海道ツーリングと同じ条件で走って試してみたいと思い、高田さんにお願いして、一緒にキャンプツーリングに出掛けることにしました。

フォークスプリング交換

走り出して直ぐは、スプリングが馴染まないため、少し固く感じましたが、ブレーキング時の姿勢変化も少なく、ディスクパットを良質な物に替えたぐらいブレーキの利きが良く、安定感もあり安心感が増しました。

コーナーへの進入は、わずかにバンクさせた時から向きが変わり始めて、切れ込むこともなく、余計な力が腕にもかからずコーナーリングが楽しいです。サスの換装といえばリヤサスが一般的のようですが、フロントスプリングの換装で、こんなに良くなるとは思いもしませんでした。

北海道ツーリングに行く前に換装していれば、北海道ではもっと楽しく走り続けることができたはずです。でも、変化をしていく過程を実体験することがなければ、お客様の疑問にも、曖昧でいい加減な受け答えで、パーツを売るための対応しかできなかったと思います。

キャンプVTR-F-NC 夕日コスモスNC

実体験したNC750X LDの激変から得たもの

さて、NC750X LDの乗り味は、「何じゃこれは??」と、北海道を走り始めた初日からは想像も付かないほど変わってしまいました。高田さんから「NC700Xは、ある距離かあるところを境に、突然フロントのサスペンションが柔らかくなって、俺のようなヘボライダーにはとても乗れない!」と聞いていたとおりでした。

私の場合、あらかじめ聞いていたので気持ちの準備ができていましたが、もし知らずに、ツーリングの途中からここまで激変したらパニックになっていたかもしれません。危険なこともあるだろうし、走り続けることが楽しくなくなってしまいます。

こんなこと雑誌はもとよりインターネットなどでも聞いたことも、見たこともありません。

NCフロントフォーク

私自身、今までのようにあまりバイクに乗らず、このような実体験をしなかったら、ユーザーの方から「ある程度距離を乗ったら人差し指と親指の間が痛くなった」とか、「何かコーナーが回りづらくなった」などの疑問に対しての説明は、「乗っている時に変に力が入ってないですか?」とか、「車両は問題ないですから気のせいではないでしょうか」とか、「そんなもんですよ!」なんて対応することしかできないと思います…。

こんな経験をすれば、バイクに乗らないオートバイ屋の適当な対応は、本当にバイクを楽しみながら乗っているライダーには見透かされていることが容易に判ります。しかし、実体験を積み重ねたノウハウを持つオートバイ屋が少なく、「楽しむ事」より「モノを売る事」が最優先であるのが現実なのだと、今更ながらに思います。

等身大のバイクライフの提案のために

30年近く前から、幾度となく北海道にはツーリングに来ていますが、みんなで来るときは、旅行会社の添乗員のように、「はい!こちらですよ~!」みたいなツーリングばかりをしてきました。確かにそれもツーリングの形ではあるかもしれませんが…。

思い返してみると、オートバイ屋としてそれなりにバイクには乗ってきたつもりだったのですが、皆にアドバイスすることやコンディションを整えて楽しむためには、余りにもバイクに乗っていないような気がします。

今回のような経験をもっと早くにしていれば、ユーザーの皆さんに、その方なりの等身大の提案やアドバイスができたのではと悔やまれます。

今までにない北海道ツーリングから多くのことを学びました。これからはもっとバイクに乗り、実体験を繰り返し、乗っている方からの疑問などの言葉に耳を傾け、その方々に合った、等身大の提案が出来るようにバイクを楽しもうと思う次第です。

津別峠の朝日

  • 店長:小藤哲朗
  • アフターメンテナンスにおきましても、経験したことをプロとしてユーザーの愛車にフィードバックすることを心がけています。